日記(仮)

好きに書いてます。

月島でもんじゃ焼きに堕ちた話

突然だが、私は大阪生まれ大阪育ちである。

 

家にはたこ焼き器がある。

当たり前のようにある。

晩ご飯がたこ焼きだとテンションはあがるし、晩の残りのたこ焼きを、次の日の朝ご飯にすることさえ厭わない。

むしろ嬉しい。

 

そしてお好み焼きも大好きだ。海鮮が入ったお好み焼きには目がない。

このように所謂「こなもん」と呼ばれるものはどれも大好きだーー

 

いや。

 

一つ、違った。

 

もんじゃ焼き」という文化には、触れたことがなかった。

 

食べ物というか、文化というイメージだった。

 

何か遠いところの文化。

 

大阪にはやはりたこ焼き屋お好み焼きの店の方が多いし、わざわざもんじゃ焼きを食べようという機会も、訪れなかったのである。

 

しかし、大阪で生まれた女も大阪から出る時はくる。

 

あなたについていこうと決めたというワケではなく、旅行で東京に行ったのだ。

 

としまえんの跡地にできたハリーポッター

スタジオツアーに行くためだった。

旅行の期間は、12日。

 

1日目は東京観光をして、2日目にハリーポッタースタジオツアーに行こう」

 

旅行の立案者であり、東京に住んでいる姉は言った。

 

ハリーポッタースタジオツアーもそれはそれは楽しかったのだが、今回はもんじゃ焼きの話をしたい。

 

1日目の晩に私達は月島に行った。

 

月島とは、もんじゃ焼きの町。

どこを見渡してももんじゃ焼きの店があった。

もんじゃ焼きの店の隣にもんじゃ焼きの店があるのは当たり前であり、その向かいも斜向かいも、もんじゃ焼きの店であって当然。

 

そんなもんじゃ焼きストリートに、生粋のたこ焼き・お好み焼き派である私は迷い込んでしまったのである。

 

街全体が活気に溢れており、観光客らしい人と、地元客らしい人が8:2くらいの割合でいる印象だった。

1730分頃と、晩ご飯には少し早いくらいの時間に向かったのだが、店前には大体お客が並んでいた。

 

ひと通り街を歩き、どの店が良いか悩んだ結果……かの有名な「月島もんじゃ もへじ」本店に行くことにした。

店の前に並べられた待合の椅子にはお客がたくさん座っていたが、店がかなり広いためか、それほど待たずにすぐに中に入れた。

 

笑顔の店員さんに案内されて席に着く。

中はとても広く、開放感があった。

ガヤガヤとしていたが、全然うるさくは感じない。

人の量が多いからガヤガヤしているだけで、個々が出している音量はそれほど大きくないのだ。

むしろ、声量に気を使わなくていいので居心地がいいと感じた。

 

メニューはたくさんあり、トッピングもたくさんあり、サイドメニューも豊富。

海鮮がおすすめらしく、海鮮アヒージョやほたてバターなど、書いてるだけでよだれが出そうな料理がたくさんあった。

 

もんじゃ焼き初心者の私達は店の看板メニューという「海鮮もんじゃ」と酒をひとまず頼んだ。

 

季節は7月。

道を歩いてふきだした汗をおしぼりで拭きつつ待っていると、キンキンに冷えたビールが届いた。

喉に流し込んで喉の渇きをうるおす。

最高に美味い。

 

店は混んでいたが、ホールに出ている店員さんがかなり多く、テキパキと動き回っているからか、あまり待たされなかった。

すぐに、もんじゃ焼きの「もと」も届いた。

黄色い出汁の中に、たっぷりのキャベツと、大きなエビやイカがこんもりと入っている。

 

そして、店員さんがそれを鉄板に広げて焼いていってくれる。

 

焼いている間のトークも楽しく、プロの技にいちいち感動する私達に、「実は自分は東京出身ではなく、地方から上京した大学生で、この店ではじめてもんじゃ焼きを食べてあまりに美味しかったのでここでバイトを始めたのだ」という話をしてくれた。

その間も一切手は止まらず、鮮やかにコテを使いこなしてもんじゃ焼きが成形されていく。

 

もう香りだけで美味しい。

最後に横に避けていたトッピングの餅とチーズが追加され、私達はその香りにもうノックアウトされそうになっていた。

 

観光楽しんでくださいねと言い残し、店員さんが去った。

 

1人につき2つ用意された小さなコテを両手に持ち、大きなもんじゃ焼きから取り分を切り離し、自分専用の小さなもんじゃ焼きを作って、食べる。

 

おいしい。そして、楽しい。

 

そう、もんじゃ焼きは楽しいのだ。

私ははじめてそれを知った。

まず、店員さんが作ってくれる様子を見れるのが1つのアトラクションのようで楽しい。

 

そして、もんじゃ焼きをコテで取ってちまちま食べていくので、すぐに食べ終わることができない。

ある程度食べるのに時間はかかる。

 

そこがいいのだ。

ゆっくり食べながら話せるので、まさに旅行にピッタリだと思った。

あと、もんじゃ焼きはおこげになっている部分がこれまた美味しいので、わざとちょっと焦がすのがオススメ。

 

追加で海鮮アヒージョも頼んだのだが、それも美味しかった。

海鮮はもちろんのこと、フランスパンがついてきたのだが、それをアヒージョの汁につけて食べるのがたまらなく美味しかった。

ガッツリだが、主に食べたのは海鮮なので胃もたれなどはなく食後の満腹感も心地よい。

 

店を出た後、店員さんが一人一人に声をかけてくれて、服にファブリーズをしてくれるほど心遣いが行き届いていたのも良かった。(鉄板焼きの匂いを取るため)

 

かくして私はもんじゃ焼きの虜になった。

大阪の梅田にある「もへじ」へもんじゃ焼きを食べに行ったり、家でもんじゃ焼きを作るほどになってしまったのだった。

 

こなもんはやはりいい。